台湾に来たばかりの頃、7−11の開架式冷蔵庫に並んでいるのは、せいぜいジュースとちょっとした冷製菓子くらいでしたが、おにぎりに始まり、最近は御弁当、ちょっとした惣菜まで並ぶようになりました。一日2回届けられるおいしいパンも結構魅力。出勤日、お昼になると60%以上の確立で私は7−11でお昼ご飯を調達します。
私の会社の回りは食事を取れる所が少ないのですが、リーズナブルな食堂や出来立ての惣菜をさっと持って帰れる御弁当屋さんが無いわけではありません。では、なぜ7−11に行くのか。それは台湾式御弁当(いわゆる盒飯)が苦手だからです。
7−11が会社の近くに出来たのはつい最近の事。それまで私は結構辛い物があり、頭から自分で御弁当を作って持ってくる気の無かった私は、さっとテイクアウトできる御弁当屋より、じっと待たなければ行けない食堂をに行く事が多かったです。
台湾式御弁当の何が苦手か…それはご飯の上になにもかもがのっかてるのが駄目なのです。日本にも丼物があるので、メインの物がご飯の上に乗っかっている程度なら私も受け入れられます。私は中でも横にある惣菜、油でギトギトした炒め野菜や汁物が、紙の御弁当箱には何の仕切りも無い為に、せっかくの白いご飯に侵食してくるのが駄目なのです。注意して食べないと、最後はいろんな味が混ざってしまう…食の見かけ・味・触感に美を求める関西人の私には許せない事です。
今の会社に転職したばかりの頃、会社の回りに食堂は少なく、100bに一件の割合でコンビニがあるといわれる台北中心部にあって、何とそこはコンビニの真空地帯だったので(今は2件ほど出来ましたが)、食堂に飽きると仕方なく御弁当屋さんに行きました。先ずはご飯を紙で出来た御弁当箱に高さ3/4、底面積3/4位に入れられ(ご飯の量が多い…)、わずかな残りの場所に無造作に副菜が置かれます。
副菜は御漬物もありますが、大抵が炒め野菜や煮物など、なぜか麻婆豆腐系のベタ汁物もあり、水気を含んでいない物はほとんどありません。(御漬物や煮干しをいためた物は水分含有率が低いですが、味が濃いので、気を付けましょー)一種類ならまだ汁の侵食率を押さえる事ができるのですが、3種類くらいを選んでいれてもらうのが普通なので、まずここでご飯の1/2が3種類の副菜の汁に侵食されます。また、ここで既にご飯の上にも副菜が乗っかっているのです。
日本のホカ弁でもご飯にある程度おかずがのっている事がありますが、大抵は直接かからない様に海苔で防いでくれている所があります(海苔弁当はその代表格)。私は海苔の偉大さを台湾に来て初めて噛み締めました。
それから主菜。大体が魚や肉の揚げ物や煮物が多いですが、(特に私がたまに行く会社の近くの御弁当屋はそうなので、きっと他にもこういう御弁当屋があると思うので)、一つ注意をすると、主菜を載せられる前におかみさん(おやじさんの場合もあり)が、「煮汁をかけるか?」と聞いてきます。この煮汁が曲者です。一体何の煮汁かと言うと大抵が、肉を醤油などで煮込んだ時の煮汁なのです。もちろん油はそのまま。このカロリー・塩分が高く、ご飯に他の味が侵食していく率もぐんと高まります。
私も小さい頃、母が煮魚を作ってくれて、その残り汁をご飯にかけてて食べた事がありましたが、翌日残った煮汁を見て、油の含有量に愕然となり、思春期を境に止めてしまいました。
それをここで再現すれば、ただでさえ台湾に来て体重コントロールがままならなくなっているのに、手がつけられなくなる事態を避けなければなりません。私はきっぱりとおかみさんに「かけないで下さい!」と断ります。どうやら煮汁をかけないでと言う人は少ないらしく、私はその御弁当屋に思い出した時くらいしか行かないんですが、おかみさんにすっかり「この人は煮汁をかけない人」と覚えられてしまいました。
さて、主菜は御弁当箱の底面積の半分以上をしめるのが普通です。魚だったら、日本の切り身魚の2倍くらいはあるでしょう。なんとかご飯に他の味が侵食していく率を押さえ、私は会社の自分の席に戻り、弁当箱を開いて食べ始めるのですが、先ず一瞬どこから手を付けたらいいか分かりません。なぜなら大抵が御弁当箱の蓋を開いた時にご飯が見えないからです。
和食の作法では、先ず一口ご飯、それから汁物なので(中華料理って汁物は後だから、結構しんどいです…)、主菜を蓋に載せ直し、それからご飯にありつく事ができます。ただ副菜があっちこっちに散らばっていて、この時点で既にご飯の味が若干変わり始めています。ご飯を食べて御弁当箱の底に空きスペースができると、そこに副菜が侵食してきます。ご飯を半分くらい食べ終わった頃には結局いろんな物がごっちゃに混ざった猫まんまの出来上がりー!です…
でも私には実は逃げ道があって、値段は倍くらい高くなりますが、近くに日本料理屋があるんです。たまにお昼の定食を食べに行くと、ご飯・おかずの一つ一つが何者にも犯されず、孤高の味を提供してくれて、私はそれをこよなく愛でながら食します。口に入ったら、お腹に入ったら、同じだろー!?いえいえ、神様とそれぞれの食材を造ってくれた御百姓さんに感謝し、さらに最高の味を引き出してくれた料理人の腕を堪能しながら食べなければ、真の日本人とは申せません。
…なーんてね。本当は、私が小さい時に猫まんまみたいにしてご飯を食べたらあかん!という両親からの刷り込みによる物なんですよ。でもご飯の上におかずを載せる載せないは普通の食習慣によるものかもしれません。
話はお弁当から普通の家庭の食事になりますが、旦那が私の家に初めてきた時、旦那は食器棚にある数多くの大皿・小皿を見て「お客さんがしょっちゅう出入りしている家だ」と思ったようです。でも家はそんなに他人が出入りする家ではありません。親戚は皆関西だし、父も定年退職でゆっくり過ごしている、ふつうの家です。
基本的に私の母は大抵の料理は一人ずつ中皿に分けて料理を提供してくれました。(一般的に日本人の家はそうだと思います)小皿が多いのは、もちろん大皿に盛り付けられた料理を取る取り皿です。病的な私の弟に至っては、一人一枚の中皿にハンバーグ、野菜、コロッケと盛り付けられているのを、それぞれ違う調味料をかけるからと、更に3つの小皿にそれぞれ取り分け、お互いの惣菜が味の侵食をし合わない様、調整を図っていました。(おかげで皿を洗う母は大変でしたが)
私はそこまではしませんでしたが、おでんとかなべ物等大皿に持ってあるような物でも基本的に小皿に取り分けて食べ、なるべくお互いの味を侵食しない様にするものと思っていました。
では台湾ではどうなのでしょう?
まず大皿に料理がどーんどーんと並びます。ご飯はもちろん御茶碗に。さあ、料理を頂こう!あれ?取り皿が無い…。み、みんなご飯の上に料理を少しずつ載せていっている…え?その汁物の具も載せるのー!
取り皿が無いなら、まず一品だけ自分の欲しい分をご飯に載せて、それを食べ終わったら、また次の料理をご飯に載せるというのなら分かりますが、本当に少しずつご飯の上に、こぼれない様に上手に載せていくのです。
私の旦那も兄弟が多いので、親戚が集まると料理のあるテーブルに全員つく事ができず、テーブルに付けなかった人はソファーや椅子のある所に行って食べるのですが(主に子供たちや彼らを世話する大人など)、私はたくさんの料理を少しずつ載せて、それを持ちながらフラフラ席を離れるという事が、まず出来なかったので、とにかく料理のあるテーブルに座って食事をするしかなかったです。今ではなんとなく慣れ、なるべく他の人がテーブルの料理を取りやすい様にと、私自身がテーブルに座りっぱなしという状況を作らない様にしていますが。
私は最初、旦那のうちは人数が多いから、こうなってしまっているのだと思っていました。もしそうなら匿名とはいえ、こういう公共の場で旦那の実家の食事状況を披露したりしません。実際ほかの台湾人の家へおよばれに行くと、人数が多いとほとんど上記のような感じです。
去年の旧正月、日本に帰省した時に、旦那を連れて台湾でもブームの旅行先・北海道に雪祭りの時に合わせていきました。札幌のホテルは日本人だけでなく、台湾人の団体旅行客もたくさん泊まっていました。朝ご飯は和式ビュッフェスタイル。黙って食べてれば、誰がどこの国の人なんて、黄色い顔・黒い髪をしていたら分かりません。でもすぐ分かるんです。だって台湾の人って、ご飯を載せた御茶碗におかずを載せて歩いてるんですもの…。うちの旦那もそれを聞いて納得。「うん、すぐに分かる」
未だに3日3食中華料理が続くと体調を壊してしまう私。せめて食事くらいは自分の満足行くようにしたいです。そこで私にとって、昼食の救世主となったのが7−11。ここで売られているもので、異常に油っぽい物は先ずありません。御弁当は丼物でもご飯の上に乗っているのはメインのおかずだけで、副菜は仕切りのあるスペースに入っていて、自己の味を主張をしています。当分私の昼食は7−11ときっても切り離せません。
でもね、私が7−11で一番好きなのは、ベチャベチャしてる麻婆豆腐丼なのよーん!(だって、台湾で食べた麻婆豆腐の中で一番本場物に近い味なんだもん)